ゴルド・プロスピンとの対談

 フラメンコは相互に影響し合うことを通して学ぶというが、現代の新しい技術によって今の私たちはまた別の形でフラメンコを学ぶことが出来るようになった。それでもフラメンコの知識を増やす一番重要な方法であり、つい最近まで唯一の方法はやはり、前の時代を知る、その上の世代から歌い受け継いだものを伝えてくれる昔の人たちの話を聞くことだろう。


数週間前、セベリノ・イスキエルドと筆者は先日亡くなったディエゴ・アグヘータと同年代で同じ地域出身の歌い手の元を訪ねた。数多くの出演経験もあるホセ・バルガス“ゴルド・プロスピン”だ。あまり知名度はないかもしれないが、コンクールへの出場経験もあり、しっかりとカンテの道を歩んできた偉大な愛好家である。


*対談時の様子

彼のカンテの好みについて話してくれ、ペペ・ピントの音楽性がどれだけ好きか、彼がよく歌詞の何行かを朗唱していた様子などからもインスピレーションを得ていることなどを話してくれた。ペペ・ピントの朗唱は彼のカンテの表現に織り込まれ、音源の中でもひと際目立っている。

その後はフアン・プラソレタなど今まで一緒に仕事をしたことのあるギタリストについて話してくれた。フランス、ニームへの旅路や、マヌエル・アグヘータとの共演の際の話なども。マヌエル・アグヘータの話は対談の大半を占め、周知の通り、彼の難しい性格についていろんな話を聞かせてくれた。

また我々の訪れた彼の持つバル、「ベンタ・ゴルド・プロスピン」についても話を聞いた。ここはとてもフラメンコな場所で、マヌエル・アグヘータについてのドキュメンタリーの撮影場所にもなっている。監督はフランス人のドミニーク・アベル、タイトルは「カンタオール、アグヘータ」(1998年)。ゴルド・プロスピン自身も54分あたりに映りこんでいる。

このドキュメンタリーでは彼のキャラクターやどれだけ偉大なカンタオールであったかを垣間見ることが出来る。まだ見たことのない方は以下のリンクから参照いただける。



*ゴルド・プロスピン登場シーンのGIF


カンテに心を満たされ、カンテを通して様々なことを共有出来た素敵なひと時を過ごせた。我々が店を出る前、ゴルド・プロスピンがケースも何もないCDをプレゼントしてくれた。以下にその抜粋のリンクを残すので、まだ一般大衆には良く知られていないこの偉大な歌い手の歌をぜひ聞いてみてほしい。

以下の2曲を紹介するので、ぜひ聞いて、チピオナに行く機会があれば彼の「ベンタ・ゴルド・プロスピン」を訪ねて、彼との時間と彼のカンテを楽しんでほしい。




文:ホセ・カルロス・カブレラ・メディナ

訳:瀬戸口琴葉

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